表裏一体&分離の料理人「4」

僕のフランス時代のお話。
まず、20代後半に渡仏した僕は、一応日本では10年くらいの社会人経験があったのでまぁ最低限の一般常識や人間関係でのコミュニケーション能力は人並みに備わっていたかな?、という自負はありました。フランスで仕事と生活をしてみて強く感じた事は、国民性というか人間性ですね…やはり。
勿論僕はフランスもフランス人も大好きな訳ではありますが、最初なかなか理解出来ない部分が多数ありました。例えば、レストラン営業中、調理場と接客領域の国境では毎日の様に攻めぎあい、怒鳴りあいの攻防になります。このまま殴りあいになるのでは、と思うくらい毎回激しく白熱し、近くでそれを見ていていつもヒヤヒヤしていました。でも、1時間後料理を全て出し終わって一息落ち着くと、さっきの争いは何だった?、というくらい普段の仲良しに戻って肩組んで飲みに行ったりもします。唖然です(-_-;)。
こんな事もありました。渡仏して間もない頃の僕に教育係が付きました。若干21歳社会に出て2年目の生意気盛りのフランス人。彼は僕がフランス語があまり解らず何でもハイハイ言う事を聞くものだから、こりぁいいや!、と下っぱ仕事をどんどん押し付けてきました。ある時、ちょっとした事が原因でキレた僕は胸ぐら掴んで壁に押し付け☆☆☆☆!!!!。するとどうでしょう、次の日から朝僕のトコ来て、ボンジューッ コージ♪ サバ〜♪ です。何かとご機嫌を取りに来るようになりました。
フランス人と仕事をしていく上での教訓を学びました、喜怒哀楽をはっきり表現して、相手に流されず自分の存在をきちんと誇示する。でした。
ある人が語ってました、日本でエゴはネガティブな要因ですが、フランスの教育はエゴをみんなちゃんと持ちましょう!という事から始まる。…と。
今周りを見渡して感じる事は、渡仏して少しでも何かを築いたシェフ達は良くも悪しくもみんなエゴイストなクリエイターなんだと思います。
↑何故か合羽橋の写真